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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第28章 女神の降りる丘
女神の言葉には覚えがある。
以前、森の主を前にした時。
剣闘技で屈強な戦士達と闘った時。
そして、レオを目の前にして怯え、剣がその心に反応した時のことをアルは鮮明に思い出していた。
この宝剣は確かにあたし自身の心に同調する──
アルは真っ直ぐに女神を見つめると、しっかりと頷き返した。
女神は覚悟を決めたアルの表情に微笑みを浮かべる。
“では……よいですね”
天空を仰ぐように見上げると、女神の身体が強い光に包まれた。
その光の輝きは次第に大きくなって、アルと剣とを共に包み込む。
ルイス達は眉をしかめつつも、その眩い光に包まれるアルを見守った。
凝視できない程の眩しさに三人は薄目を開けて、腕で光を遮る。
その目の前で、空から一筋の光の矢が走った。
いつしか巨大になっていたアルを包む光はまるで風船が割れたように一気に弾ける。
辺りに広がったその光は一瞬にして消え去っていた。
強すぎる射光にルイス達は思わず顔を背けたままだ。
その耳にトサっと軽く何か音がした。
地上にゆっくりと下ろされて着地したアルの足音だ。
「アルっ…大丈夫かっ!?」
ロイドは駆け寄ると心配そうにアルの顔を覗き込む。。
「うん……何がどう変わったのかわからないけど、今の所は何ともないよ」
アルはそう答え、他の二人にも笑みを返した。