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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第28章 女神の降りる丘
昔、まだ長が元気だった頃に借りて読んだことのあった物語。
それはあの伝説の神話。第一章と三章、そして四章。ルイスが欲しがっていた古の物語の書物だった。
マークはその場で床に座り込むと、他の本を横に置き四章だけを手に取った。
焦げ茶色した革表紙はこれまで読んだ人々の手の脂が染み込んだのか、古めかしい色合いに変色してる。
マークはワクワクしながら少し浮いて隙間ができた頁を一気に開く。
その頁の間にはマークが以前挟んで置いた大きな枯れ葉の栞が挟んだままになっていた。
マークはその頁の隅に書かれていたタイトルを読み直す。
「しれんのたびじ(旅路)……っ…そうだ!ここまで読んでたんだっ!!」
マークは今までに読んできた内容を一気に思い出して笑みを浮かべた。
それは神の命を受けて旅に出た従者が勇気を試される試練の旅に出るという物語の一節の始まりだった。
光の剣を手にして数々の魔物と戦い勝利してきた神の従者が、さらに強くなる為に──
楽しみにしていたその次の旅路の章を読む目前で、村は更なる餓えに見舞われたのだ。
その頃からマークが必死になって頁を捲るのはこの物語の本ではなく、植物図鑑だけになってしまっていた。