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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第28章 女神の降りる丘
「なあ、マーク。読むのは家に帰ってからだぞ!」
ティムはそう何度か座り込んだマークの小さな背中に呼び掛けてはみたが、夢中になり始めたマークの耳には全く届いていないようだった。
ティムは呆れたため息を吐くと「……オイラ。もう一回自分の家、見てくるからな」そう小さく呟いてマークを残して駆けていった。
マークはそれに気付かず、うわあっと早速声を挙げ目を輝かせた。
─・─・─・─
◇試練の旅路◇
従者は光の剣一つを携えて、紅蓮の翼を持つ獣が棲むという燃え盛る山の頂上へと向かった。
─・─・─・─
「……燃えさかる山っ…」
マークは書いてある様子を想像して本を抱き締める。
燃え盛る山ってどんななのだろうか。
山が火だるまにでもなっているのか──
従者はどうやってその山に近づくのだろうか──
先を読むまでが疑問の嵐で想像することがとても楽しい。
マークは抱き締めた本にまた目を向ける。
外で数人の大人達の声が聞こえていることにも気付かずに、マークはすっかりその物語に没頭していた。