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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第28章 女神の降りる丘
「……これは…まさに廃墟…だな…」
伸びきった草を掻き分けて、目の前にした廃屋を眺めるとルイスはため息を付いた。
名もなき村に足を踏み入れ、アルは自分の家の前に佇む。
「ここがアルの家か」
「うん……」
後ろに付き添うように立つロイドに聞かれてアルは頷く。
「入ってみるか」
「うん。使える物があったら……持って帰りたいし…」
自分で口にした言葉に少し切なくなる。
“持って帰る”
そう。もうここは帰る場所ではなくなった……。
今は不器用で優しい養父と新しい家が帰る場所だ。
アルはそう思いながら自分の家であった扉に手を掛ける。
「待てアル!」
「──……」
辺りを見回るレオが警戒しながら口にした。
「今なんか物音がしなかったか?」
探るように耳を澄ませるとレオは自分の背後に建っていた家を振り返る。
戸口にそろりと近付き、ゆっくりと剣を一本引き抜いたレオに続いてロイドもルイスも腰の剣に手を添えた。
「何かいやがる……」
扉に耳を当て、中の様子をこっそり窺うとレオは小さな声でそう言った。
盗人だろうか?これだけ荒れてるなら動物が棲みかにしている可能性もある。
アルを背中に庇うとロイドは二人に合図を送った。
「いいか、いくぞ…」
剣を構えたレオに、ルイスは目配せすると一気に扉を開く。