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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第28章 女神の降りる丘
他の家より一回り大きな長の家は、地面から伸びた太い蔦が絡み、網を張ったように玄関口を鬱いでいる。
長の家だけがそんな状態だった。
網目状の隙間をくぐり抜けたティムは家の中から皆を手招きした。
「早く早く!」
「わかったからちょっと待て」
ルイスは剣を抜くと蔦を勢いよく切りつけた。
「──…っ…ゴムみたいな弾力だな…」
ばっさりと一気に断ち切れるかと思いきや、蔦の網はまるで丈夫なバネの如く剣を跳ね返し一本切れただけだ。
剣先を指で触れて確かめるルイスの肩を、レオがグイッと押し退けた。
「お前の気取った細い剣で切れるかってえの!こんなのは俺に任せとけって!」
レオはニヤリとして大剣を構える。
「わかった。だが家まで壊すなよ?」
「ああわかってらっ」
へっと笑うとレオは剣を軽く下から上に向けて振り切った。
「おら、見てみろ!」
絡まりあい、ピンと張っていた蔦が斜めに走った切り口からバラけていく。
すっきりした入り口を前にして、レオは得意気に皆を振り向いていた。
ティムは先に家の奥へと駆けていく。
「マーク!アルと兄ちゃん達も来てるぞっ」
賑やかな足音を立てながらまた戻ってきたティムをマークは見上げた。