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MY GIRL
第9章 過去と葛藤
辛かった。

美咲が高宮先輩に対して向ける笑顔は、美咲の家族や友達や…俺に対するものと違っていた。

安心しきった、何もかも預けきった…柔らかい笑顔。

あの小さな身体いっぱいで好きだと伝えてるような可愛い笑顔は、俺じゃなくて…高宮先輩に向けられてて。

美咲から笑顔を取り戻したのは、一時的には俺だけど。

たぶん、高宮先輩だ…

それに気付いてから、心の奥に、何ともいえない黒い感情がずっと渦巻いていた。

認めたくなかった。

美咲を幸せにできるのは俺しかいないって自信があるのに、美咲にとっては違う。

美咲が誰か1人の男に夢中になっているのを見るのは、初めてで…

それが俺じゃないことが、たまらなく悔しかった。

「諦めるって選択肢は俺の中にないんだよ。奪いたいっていうか…俺の方に向けさせたいというか。幼なじみって立場利用していろいろしてる訳だし」

「それは俺も思ったんだよね、奪いたいなって。高宮ってほんと女と喋んないからさ、俺にとってはミラクルだったんだよ。だけど美咲の人柄知ったら誰だって惚れるよなあれは…」

「でも卑怯な手は使いたくねーの。使いたくないけど、あそこまでラブラブだとどうにかしてやりたくなるんだよな…」

「…、そうだなー…」

「だけどさ…すごいよな、女嫌いの高宮先輩と、男嫌いの美咲…どこで出逢ったんだろうな?

俺も行きてぇわ、戻りてぇよその場所!

戻れたらさ、絶対美咲のこと渡さねぇのに。

…っあの、幸せそうな笑顔…俺が独り占めすんのに…」

なぁ…神様とやら。

いるなら教えてくれよ、美咲の心の奪い方。

どうしても溢れてきて止まらねえんだよ、この想い…

「…で」

「…うん。…うん?」

「どうしたらいいと思う?美咲を惚れさすには」

「…いや。こっちが知りたいっつったろ」

「あー、くっそー…ライバルかよ〜、涼太はその辺の一番可愛い子でいいじゃんか」

「あのな。女なんてたいてい持ってるステータスでしか寄って来ねぇんだよ」

「あーまあそれは分かるかも…」

「そんなのなんて気持ち悪いだけじゃん?」

「…、嬉しくね?惚れてくれてるだけ」

「俺の本質を見ようとしないのに?」

「…」

こいつの闇も相当深そうだな…


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