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MY GIRL
第5章 告白
お母さんの覆っていた手を取り、キスをしたお父さん。

身体を、動かしたまま。

するとお母さんの腕が、お父さんの首に回って…

その一連の動作を、つい見入ってしまっていたあたし。

両親はあたしに見られていることに全く気付いていなくて。

しばらく見入ってふと我に返り、そっと扉を閉めて隣の部屋に戻った。

…邪魔しちゃ、いけない気がしたから。

それからしばらく眠れなくて、ころころと身体を転がしているうちに。

気付けば朝で、お母さんがいつも通りに起こしに来てくれたんだっけ。

その時まだ子どもだったけど、好奇心旺盛の延長で昨日のあれが何だったのかを親に聞くようなこともなく。

どこか頭の片隅に残したまま、年を重ねて。

”それ”は、実現してしまった。


゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*


いくつの時だったかは定かではないけど、5年生か6年生の時だったと思う。

中学受験の勉強をしていたから6年生だったかもしれない。

夏休みのある日、あたしと蒼汰はいつものように一緒に宿題をしていた。

いつもはあたしの家でしているけど、その日は蒼汰の家に招かれていた。

クーラーの効いた涼しい部屋で、黙々と問題集にペンを走らせていて。

「美咲、休憩しよ」

蒼汰のその言葉に、笑顔を向けた。

「どこまで進んだ?」

「まだまだ。分かるとこだけ書いてる」

「あたし36ページまで進んだよ〜」

「早くね?後で見せて」

「えー、自分でやりなよ〜」

「いいじゃんいつもなんだし」

向かい合わせ、ではなく、隣り合わせ。

学校では普通にしてるけど、家では必ず身体のどこかの部分を触れ合わせながら一緒にいた。

「テレビつけよ」

手を伸ばしてリモコンを取り、電源を入れた蒼汰。

たまたまその時入っていたのは、普通なら深夜に放送されているはずのドラマの再放送だった。

「この人、CM出てる人だね」

「へえ」

「知らないのー?」

「だってテレビ見ないし」

「せっかく部屋にあるのに」

「ゲームしてる方がマシ」

「そっか〜」

そんな会話をして、チャンネルを変えることもなくしばらくテレビを見ていたけど。

唐突に、数年前に見た”あの”両親のことを思い出した。


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