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遅すぎた恋
第1章 失恋を癒すのは…
私が腰を下ろしたベンチのすぐ脇に
携帯を片手に会話をしながら
横に立つ少年の姿が目に入った。
チラッと片目で見ると
伏し目がちな目は少し困惑しているようだ。
「泣くなよ…話はいつでも聞くし…
電話はいつでもしてくれていいから。
友達に戻るだけなんだから…なっ?」
これは…絶対別れ話でしょ?
こんな男の子でさえ…振ることがあるのか…
さっき、自分も同じ気持ちで振られただけに
相手の女の子の気持ちが痛いほど理解できた。
…泣けるって良いわね…
それだけが、私と違うところだろうか。
電話を切った後、少年は大きく溜息をつき
こちらを振り向いた。
…目があってしまった…
特に何も言わず彼は…ホームに入ってきた
電車に乗り込んだ。
思えば…それが…彼との出会いだった。