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遅すぎた恋
第3章 高校生の頃の恋愛って…



「…えっ…」


穏やかな笑顔のままの彼は、
握ったままの私の手から布巾を取り上げ
拭き終わった食器の上に投げた。



彼に掴まれた手が…熱い。




「冗談…でしょ?」



やっと出た一言に、目の前の彼は
眉を少し歪ませる。



「からかってるの?…ホラ、
歳上のおねぇさんって言うのに憧れる歳だもんね…

だったら…もう少し歳の近いおねぇさんに…」


「桜さんっ!」



いつも笑っている飛鳥君からは笑顔が消え、
大きな綺麗な目を真っ直ぐ私へと向けている。

その綺麗な目に耐えられなくて…堪らず
私は視線を斜め下へ下ろした。


「俺…からかってないよ。

歳上への憧れも…ない。


桜さんだから…好きだって思ってる。


…彼氏がいるのも知ってる。
だから、どうなりたいってのは今はないから…

気持ちだけ…知って欲しくて。


…その…キスしたのは…ごめんなさい。」



真剣な目だった彼が嘘のように…
怒られた子犬のようにシュンとしている。



おかしくて、吹き出した私に
飛鳥君も安心したのかハハッと短く笑った。
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