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遅すぎた恋
第4章 思えば思うほど…
「桜さん…俺…嬉しいよ。」
飛鳥君の顔が明るく照らされて
瞳がキラキラと輝いている。
…どれだけの女の子を…この瞳で
恋に落としてきたのだろう…
どれだけの女の子に…この優しい笑顔を
見せてきたのだろう…
…そして、どれだけの女の子を…
抱きてきたの…?
高校生らしくもなく…恋愛慣れしている彼が
私には何故が堪らなく苛立った。
…私だって人並みに恋愛をしてきたけれど…
飛鳥君は違う…
違う世界を見ているはずだもの。
モデルと言う煌びやかな世界で…
あなたは何を見ているの?
不意に浮かんだのは…あの夜だった。
知らない匂いを漂わせて…私を抱きしめたあの日。
きっと、アレは…
最初のデートの時に言っていた
『付き合い』なんだろう。
握られた手に力を込めると、
飛鳥君が少し首を傾げた。
立ち上がった彼にすぐに見下ろされてしまう。
「桜さん…俺待ってるから。」
……待ってる?何を?
少し混乱した頭で彼を見上げると、
飛鳥君は表情を崩さず、笑ったままで
「彼氏と別れるまで…待ってるから。」
そう言った。