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遅すぎた恋
第4章 思えば思うほど…
「飛鳥は…モデルに進むらしいっすよ〜」
咄嗟に見てしまった飛鳥君の方向。
まさか、言われるとは思ってなかったのか…
彼の目もまた見開き、私を見ていた。
…モデルには、進まないって…
「こいつ、人気だし…解ってた結果ですかね」
純君は人懐っこく、私へ笑顔を見せる。
私はすでに…そんなこと見てられなかったけれど…
「おい、純。
俺、モデルはまだわかんねぇって。
勝手に決めんなよ。」
そう言って、純君のポテトを2、3本盗んでいく。
「あっ?そうなの?」
悪りぃも謝るけれど、私には解っていた…
飛鳥君は…焦っていることに。
「純、俺ら帰るわ。
また明日な。
いこ、桜さん。」
まだ食べられていないアップルパイを
純君たちのトレイへと移すと、飛鳥君は席を立った。
純君も小西君に手を振ると
二人とも可愛く振り返してくれた。
ズンズンと前を進み、後ろなんて振り向きもしない
飛鳥君は…可愛さなんて微塵もない。
「飛鳥君っ…待って」
「…ゴメン。桜さん…」
やっと振り返った彼は今にも泣き出しそうな顔をしている。
歩幅を合わせると、私からそっと手を握った。