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遅すぎた恋
第1章 失恋を癒すのは…



「お姉さん、大丈夫?」



顔を上げると、そこには1人の男性が立っていた。


グリーンのモッズコートを羽織り
腰にはチェックのシャツを巻いている。

今時の…男の人だ。



「…濡れるよ?」



傘を差し出されていることにようやく気付いた。

私に差し出しているせいで、彼の背中が濡れている。



「…あなたが濡れちゃう…」



彼は可愛くニコッと笑うとその場に
私と目線を合わせる様にしゃがみ込んだ。



「お姉さん、震えてる。

寒いの?」


「えっ?」



寒くはないけれど、カタカタと手が震えている。


…きっとこれは遼太を見たからだ。




「これ、着なよ。」



彼は自分のモッズコートを脱ぐと
私の肩にかけた。



「俺のうち、すぐそこだから大丈夫だから。

またね、お姉さん。」



彼は傘もコートも置いて走り去った。




…えっ?何がどうなってるの?


て言うか…あの子…どこかで…

えぇ!?


ちょっと!コート!!!!




すぐに立ち上がったがもう、彼はどこにもいなかった。
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