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Toy Girl
第2章 Lesson2
安定剤が効いて母が眠りについてから、私たちはホッとしながらも悲しみの中に居た。


「お姉ちゃん・・・私卒業したら働くよ」


「七海・・・」


妹には夢があった。
子供の頃から通訳の仕事をしたいと言っていた。


「だって七海、七海には夢が・・・」


「夢だけじゃ食べていけないしさ、嫌だよこんな・・・」


妹が涙を流して泣いている。


「姉ちゃん、俺も高校は夜間に行こうと思う」


「健・・・」


「夜間だって高校だし、勉強できない訳じゃないし・・・俺たちが頑張ればお母さんだって昔のお母さんに戻るかもしれないし」


「剣道の推薦は?」


弟は何も言わず首を振った。
全てを諦めたような悲しそうな目に胸が痛かった。


手首に包帯を巻かれたお母さん、夢を諦める妹、弟・・・
そんな中で私が出来ることは・・・



「・・・大丈夫、七海と健は自分の事だけ考えなさい」


「だって!」


「大丈夫だから・・・アンタたちの学費も心配いらないから」



母の傍らで拳を握りしめる。
稼げる宛がないわけじゃない。
さっきまで逃げようと思ってたのに悲しいかな、私の頼みの綱はトイガールだけだ。


それしかないんだ・・・
それしか・・・








夕方になり病院から出て妹弟と別れると矢木さんから着信があった。



「もしもし」


『矢木です、今寮に居ますか?』


「今は出てますがもう帰ります。あと30分くらい・・・」


『ではそちらに行きます』


それだけ言って電話は切れた。



私は決心を固める。
その決心を崩さないよう早足で寮に帰り矢木さんを待った。




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