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覚性
第3章 徘徊〜澄子、小帆里〜
その指の動きを少しくすぐったく感じていると、女子高生はこう言った
「じゃあ~、すみこちゃんに、お姉さん、お願いがあるんだけど、聞いてくれるかな?」ゆっくりと優しい口調ながらも、切実さと、おねだりする子供のような無邪気さが入り混じっていた 何より有無を言わさぬ力強さもあった 澄子の両手は相変わらず軽く握られ、その指の第二関節の辺りを、女子高生のやや太く大きな親指が左右にゆっくり撫でるように往復している

そう言われると澄子は頭の奥が熱くなり、鼓動が大きくなるのを感じた 両足から力が抜けそうになり、宙に浮いたような感覚がする 澄子は気が遠くなりそうになりながら、次の言葉を確かに聴いた
「お姉さんネ?…もぅお~、おトイレ我慢出来ないからぁ~、そこでしちゃうネっ? だから、すみこちゃんにぃ~、近くでぇ~、見張っていて欲しいんだけど…、お願いできるかナっ?」甘くねだる様でいて、子供を諭すような口調で、女子高生は懇願してきた 少し顔が赤くなっているように見えた 澄子はもっと赤かったのかも知れない 女子高生の目には妖艶な色気が宿っていた その大きく力強い眼光を湛えた妖しい双眸に吸い込まれるように、澄子は小さく3回ほど頷いた 眼前に満足そうに充実した眩しい笑顔が広がった 瞳が潤んで感激したような喜びが溢れていた その顔が縦に大きくブンっと振られると、女子高生はゆっくりと立ち上がった 澄子の手は解放され、久々に肘より下に両手が下がる

女子高生は澄子の前を少し歩いてから振り返り、山を登って行く小径の入り口を指差した その表情は悪戯っぽく笑っていた まるで、澄子を悪い事に誘惑しているようだった 澄子はフワフワした足取りで、女子高生に少し離れて付いて行く 澄子は女子高生の後ろ姿を眺めていた 女子高生の身に付けている制服が、澄子も好きなデザインだった事を思い出した 赤く上品なグレーの様な臙脂色のスカート、やや黒っぽいチャコールグレーのブレザー、深い緑のソックスとお揃いのスカーフリボン、全体の色遣いは地味で暗かったが、スカーフリボンが幅広で結び目が大きく、明るい印象を与えており、全体としては進学校に相応しい知的な雰囲気を醸し出していた スカートの丈は膝より少し上で、女子高生の長くしなやかな足が姿を覗かせていた 肌色よりもやや褐色で、膝より下と比較するとその太腿はやや肉付きが良くなっていた
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