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秘蜜に濡れて
第13章 刹那の代償
「あっんっ!はぁ、ああっん、んーーっ!」

「…イく…っ——!」

昨日の悦楽を引き擦っていたかのように、あっという間に二人して登り詰めた。

乱れた呼吸で見つめ合う。

撥春が指先であいりの口唇をくすぐった。

微笑むあいり。


その時床に放り出されていたスマホがガタガタと音を立てた。

「あ…」

健一からの着信に時刻を確認してスライドさせる。

『家はもう出たな?』

低く唸るような電話口の声に撥春は肩を竦めた。

「はい、もう、出ます」

『もう?今すぐ出ろっ!!』

そっと振り返るとあいりが時計を指していた。

頭からシャワーを被ると脱ぎ捨ててあった服をそのまま被った。

「行ってらっしゃい」

玄関で見送るあいりをじっと見つめた。

「…あいり、ごめん」












到着予定時間はもう過ぎていた。

健一は苛立ちを露わにしている。

パフォーマンスチームは既にアップを済ませていた。

「ごめんっ!」

息の上がった撥春が姿を現わす。

「お前、おせー…よ…」

健一の険しい顔つきはその姿に唖然とする。

「あいりちゃん」

撥春の後ろにはあいりが立っていた。

しっかりと握られた手は…玄関から一時も離れる事なく、飛行機に乗り、此処まで連れて来られたのだ。
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