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秘蜜に濡れて
第2章 夢見たいつか。
怪訝な顔をする圭吾に返す答えなんてない。
「じゃあラストお願いしまーす」
最後は未来のドアを開けて、腕時計がアップになるシーンだった。
「腕時計が見えるようにこの角度で手を伸ばして下さい」
細かいチェックが入って本番が始まるまさにその時だった。
息を切らしたあいりがドアを開けて圭吾に駆け寄った。
そして圭吾がこちらを指差し、視線が合う。
この気持ちは勘違いなんかじゃない。
手に入れたい。
自然にそっちへと手を伸ばす。
「カットー!一回確認します」
カメラの前に全員で集まる。
あいりは圭吾と談笑したままだ。
「はい、オッケーです、これで撮影は全て終了となります」
あいりを探す撥春。
圭吾に手を振って出て行く後ろ姿に、撥春は手渡されたタオルを健一に放り投げて走り出していた。
これを逃したらもう会えない気がした。
もっと聴きたいと言ってくれたから、諦めなかった。
諦めなかったから扉が開いた。
あの日から胸にあって消えなかった笑顔がどうしてなのか、やっとその理由が解った。
いつかもう一度君に会えるその時に夢を叶えた自分で向き合いたかったから。
そのいつかは、あのパーティで。
この想いは、君が好きだという事で。
「待って!」
閉じかけたエレベーターに手を掛けた。
「じゃあラストお願いしまーす」
最後は未来のドアを開けて、腕時計がアップになるシーンだった。
「腕時計が見えるようにこの角度で手を伸ばして下さい」
細かいチェックが入って本番が始まるまさにその時だった。
息を切らしたあいりがドアを開けて圭吾に駆け寄った。
そして圭吾がこちらを指差し、視線が合う。
この気持ちは勘違いなんかじゃない。
手に入れたい。
自然にそっちへと手を伸ばす。
「カットー!一回確認します」
カメラの前に全員で集まる。
あいりは圭吾と談笑したままだ。
「はい、オッケーです、これで撮影は全て終了となります」
あいりを探す撥春。
圭吾に手を振って出て行く後ろ姿に、撥春は手渡されたタオルを健一に放り投げて走り出していた。
これを逃したらもう会えない気がした。
もっと聴きたいと言ってくれたから、諦めなかった。
諦めなかったから扉が開いた。
あの日から胸にあって消えなかった笑顔がどうしてなのか、やっとその理由が解った。
いつかもう一度君に会えるその時に夢を叶えた自分で向き合いたかったから。
そのいつかは、あのパーティで。
この想いは、君が好きだという事で。
「待って!」
閉じかけたエレベーターに手を掛けた。