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秘蜜に濡れて
第14章 Key to the cage
「ただいまー、撥春なら下で電話に捕まってるよ」

上がりこむとリビングにあるローボードから目当てのCDを勝手に探す。

ダイニングの上には手料理が並んでいた。

「作り過ぎちゃったんで、一緒にいかがですか?」

エプロン姿でキッチンから声を掛けるあいりに、竜は気持ちとは裏腹に素っ気ない返事をする。

帰ってきた撥春の手には溜まった郵便が握られていた。

「竜!CD持ったら帰るって言ったろ?何、食ってんだよ」

ダイニングに腰掛けて、あいりの手料理に舌鼓をうつ竜。

「きんぴら、美味いよ?」

「かーえーれー!食うなー!」

向かい合わせで食事をする二人にあいりは目を細めた。

三人で仲良くソファーに座ってお茶までする羽目になると、撥春は眉間に皺を寄せていた。

「竜!」

「んー?」

あいりがトイレに立った隙を見て、玄関を指し示す。

「か、え、れ!」

「はいはい」

渋々立ち上がった弾みで郵便がテーブルからバラけた。

「悪ぃ…?…」

真っ白な封筒から写真が散らばった。

一枚を拾い上げて裏返すと、そこにはあいりが嘉紀と食事をしている姿が写っていた。


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