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秘蜜に濡れて
第14章 Key to the cage
「彼女に贈るならこれはどうだい?」

店主が撥春の前に出したのはシンプルなリングだった。

「これ、ダイヤ?」

「そうだ、ただのダイヤじゃない、さっき入ってきたばかりの最高に珍しいシャンパンダイヤのリングだ」

レモンイエローに輝く指輪に撥春の目が留まる。

「ナチュラルダイヤと出会うのは運命でしかないんだぜ?」

店主は愛おしそうに指輪を見つめている。

「運命…か…」







腹に響く音の渦。

「竜!ライブお疲れ!」

「オフか?」

気の知れた仲間とクラブで酒を酌み交わした。

「オフ、短いのか?こんなとこに居て」

「旅行とか手配が面倒くせーんだもん」

「あーお前そういうのダメだったな」

バルコニーの様に迫り出したそこからフロアを眺めては酒を煽った。

「竜ー!」

女の子たちが気付いて手を振ると、竜もまたそれに応える。

「相変わらずモテるな」

「本命以外には、ね」

「んー?なんか言ったか?」

ぼそりと呟いたそれは音に飲み込まれていった。
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