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秘蜜に濡れて
第14章 Key to the cage
フロアの隅に見慣れない顔を見つける。

「あれ…誰?」

「あーナオヤだ、あんま良い噂聞かねえよ、女を泥酔させて犯してるとか」

「ヤバいクスリに手出してるとか」

「ふーん…」

ナオヤと呼ばれた男は三人連れで、今も女の子を取り囲んでいる。

下卑た笑いが癪に障る。

「ちょっとトイレ」

フロアに下りるともうそこにナオヤの姿は無かった。

用を足してトイレを出る。

「で、そのあいりって女はちゃんと来るんだろうな?はっ、男で脅すってどうなんだよ」

あいり…?

関係者しか入れない扉越しに聞こえるそれに耳をそばだてた。

「あぁ、クスリはロッカーで受け取ったぜ?ニューヨークで手に入れてくるなんて、相当頭に来てるのか?あんなのキメたら快楽地獄まで一直線だぜ?」

電話だろうか、相手の声は聞こえなかった。

「場所もクスリもあんたの言った通りだからな、あとはたっぷり愉しませてもらうぜ、美紅さんよ」

美紅?まさか。

竜は席に戻り、肩越しにナオヤを探した。

「竜、来てたの?」

顔を出したのは律だった。

「1人なのか?珍しいじゃん」

「んー…ちょっと頼まれてね」

歯切れの悪い律はジントニックを注文し、同じソファーに座った。
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