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秘蜜に濡れて
第17章 if u are luv
パリンッとガラスの割れる音が聞こえると、弾かれた様に踵を返した。

ドアを開けると、サイドボードの上にあった水のペットボトルとグラスに手を伸ばしたであろうあいりがいた。

グラスは直ぐ下に落ちて粉々になっている。

「…あ、きづき…さん…?」

「…怪我、ない?」

「…はい、あの…ごめんなさい…」

いいよと言い残して箒を取りにいく。

ガラスの破片を集めてゴミ箱に放ると、あいりの元へ新しいグラスを届けた。

水を注いでやると、ゆっくりそれを飲み干した。

「ここ…秋月さんの…家、ですか…?」

「そうだよ」

「…今日、何日ですか?」

「…月曜の…19時」

コトリとグラスを置くと俯いた。

「…私…ど…うして…ここに…?あの人た、ち…は…?」

シーツを握りしめる手が震えている。

「…なに…さ…れたか…秋月さんは…知ってるんですよね…?」

記憶の端々に蘇る悍ましい行為の数々。

下卑た笑い声と、這い回った生暖かい手と、貶めるだけのオモチャと。

ぽたぽたと溢れる涙がシーツに染みを作っては消えていく。

「わ、たし…は…私の…身体は…っ…ふ…っぅ…」

「違うっ!!何も…何も心配しなくていい…っ!お前が思う様な悪い事は起こってないから!」

竜はあいりを抱き締めた。



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