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秘蜜に濡れて
第17章 if u are luv
新しいメールが入る。

''忙しい?気付いたらメール欲しい、心配してる''

丸一日、平日にメールも返さないなんて今までなかった事だ。

でも、今返したら…きっと電話が掛かってきてしまう。

あいりはスマホを鞄に戻した。

ベッドに横になると、撥春のとは違う竜の匂いに、何故か落ち着いた。

気怠い身体、何も考えたくない。

身体も心も疲れ切ってしまったかの様で。

「あいり、メシ食える?」

「…あ、えっ…」

反射も鈍くて、竜がドアを開けても起き上がる事も出来なかった。

「寝たままでいいよ、3日も水とアイスだけじゃ明後日から仕事なんて無理だろ?」

竜はレトルトのおかゆに、これまたレトルトの親子丼の素を掛けたものを運んできた。

産まれたての雛に餌をやる様に、スプーンに掬ってはあいりの口へ持っていく。

「…あの…ありがとうございます…」

「美味い?って言っても温めただけだけど」

バスルームでアイスを与えた様に。

おかゆを平らげると、また睡魔が襲ってきた。

「…秋月さ…ごちそうさま…」

閉じた眼に竜は微笑む。

もう名前を呼ぶ事も、ない。

愛の言葉を交わす事も、ない。

身体を重ねる事も、ない。

でも、それでも…この想いは消えはしない。
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