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秘蜜に濡れて
第3章 愛しいくちづけ
「はい、里美ちゃん、どーぞ」

里美の向こうに席を移動してきた撥春が赤ワインを注いだ。

じとっと撥春を見つめる里美にも撥春は余裕の表情を崩さない。

「私、酔いませんから」

「うん、聞いてる、潰れたことが無いんだってね、怜二が嘆いてたよ」

「嘆いてるって?何を?」

「後始末によく呼び出されるって」

「はぁ?後始末って何?そもそも怜二が私におねしょの罪を擦りつけたのから始まってんの!」

「おねしょ?」

あいりが身を乗り出すと怜二が慌ててグラスを置いた。

「五年生の時、一緒に寝てたらおねしょしてね、私のせいにしたのよ、アイツ、最低でしょ?」

「里美!もうその話いいから!」

「時効とでも言いたいの?大体ねー」

愚痴っぽくなった里美のグラスにどんどんワインを注ぐ撥春。

それをがっつり飲み干していく里美。

見ているだけで酔っ払いそうだった。

里美の肩越しに撥春と目が合う。

が、撥春が里美のグラスを半分も空けさせることは無かった。

あいりはふかふかのソファの端っこに座り直すと、みんなが笑顔で会話を交わす光景を見つめていた。



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