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秘蜜に濡れて
第18章 deep inside
散らばったファックスを拾い集めていた撥春の手が止まる。

雑誌にして見開きに二枚の写真と記事が載っていた。

「撥春、行くぞ」

健一に声を掛けられると、それをポケットに押し込んでリハーサルスタジオへ向かった。

「岩崎さん!お疲れ様です」

スタジオには嘉紀の姿が在った。

「明日からのファイナル2days、仕上がり具合を見たくてな、撥春?」

「…お疲れ様です、あの…少しいいですか?」

撥春のただならぬ雰囲気に何かを感じ取った嘉紀は竜に目配せをすると、別室へと場所を変えた。

「何故、竜まで…?」

驚いた様子はなく淡々と告げる撥春。

撥春の要件より先に嘉紀は口を開いた。

「ファイナルの後、2人にはそれぞれ俳優業もしてもらう、表現力の幅を持たせるためにも経験しておいて損はないはずだ」

「…ソロでの活動という事ですか?」

「俳優業はそうなるな、9ではどうだ?リハを見てる限り…纏まってる様に見えるが、違うのか?」

「竜以外のヤツと歌う気にはなれません」

言い切る撥春に、竜は目を見開いた。

「でも…それは竜次第です」

ポケットに手を突っ込んだところで、嘉紀が先に紙を広げた。

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