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秘蜜に濡れて
第19章 想傷の真下
律はそのまま社食へと顔を出し、辺りを騒然とさせた。

里美・ニコルと四人で社食を食べながら、尽きない話に花が咲く。

「いい加減怜二にちゃんと告白したらいいのに」

「言うとあいつ、付け上がるもん」

「じゃあ他の女に盗られてもいいの?」

「…あんなやつ好きになるモノ好き、いるの?」

「いるわよ…ライブ見たんでしょ?」

思い当たる節があるのか、途端に里美は口を噤んだ。

三人は顔を見合わせて笑った。





律を見送ると、午後の仕事に手をつけた。

今日は早めに片付けて撥春に一目でいいから会って…話しがしたかった。

「相馬、これの資料、資料室から出してきて」

圭吾からメモを受け取ると、資料室へと向かった。

背表紙を確認して、ファイルを取り出していく。

4冊抱えて階段を登り、オフィスへと戻る。

圭吾に資料を渡すと、にやにやと笑っている。

「おっ、来たか?」

あいりの背後に視線を向ける圭吾。

入館証を翳すも、読み込む前に外してしまい反応しない。

苛立ちながら何度も翳すその姿に笑いを堪えきれない圭吾。

解錠の音が響くと、あいりは一歩・二歩後ずさった。
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