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秘蜜に濡れて
第3章 愛しいくちづけ
「今日はイヤリング、ないね」

耳をなぞって、それから髪を撫でる。

少しずつ顔が近づいていって、恥ずかしいのに目が逸らせない。

撥春の親指があいりの唇をなぞる。

僅かな時間の様で永久に続く様な錯覚にも陥る。

頭の後ろに回された手がゆっくりと二人の間を縮めていく。

「あ、の」

あいりの顔を覗き込む撥春。

「どうして私なんですか?他に可愛い子なんて…」

「あいりだから、あいりがいい…

…あいりじゃなきゃだめだ」

「なんで…」

「あいりが今の俺を創ったから」

もうそれ以上何も言わせないと撥春はゆっくりと口唇を覆った。

リップ音だけが聴こえる啄むようなキスだけなのに、あいりの心臓は破裂しそうに早鐘を鳴らしていた。
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