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秘蜜に濡れて
第3章 愛しいくちづけ
角度を変える度に深くなるキス。

何時の間にかあいりの身体は撥春に降りかかる体勢になっていた。

「舌、だして」

月明かりだけでもあいりの耳が赤いのが判ると撥春はどうしようもなく後頭部を押さえるように口唇を奪う。

我慢なんて、理性の欠片なんてとっくに何処かへいってしまった。

「…っふ……ン……」

歯列をなぞって、口腔内を犯す。

舌先を捉えて舐り尽くすと、あいりの手が服をキツく握る。

「…伊…さ、かさ…く…るし…」

「俺の事、ちゃんと見て」

上唇を軽く噛む。

「舌出してって言ったよね?言う事きいて」

理由なんてなんでもいい。

温かくて 柔らかい舌が性急に絡み合うと、あいりの口の端から一雫糸が垂れる。

「おいで」

一瞬離れたのはあいりを膝の上に乗せるためだけだ。

腕を引っ張って倒れ込んだあいりを胸に抱く。

「…ン…はぁ…」

いつまで続くのだろう、この甘美な時は。

もっとして欲しい。

思考が蕩けていく。

羞恥心を上回る欲情の波に呑まれないようにと撥春のシャツを握り締めていた手は何時の間にかもっととねだるように撥春の首に回されていた。
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