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秘蜜に濡れて
第21章 儚いダイヤモンド
お風呂に入っていたあいりはそのメールに気づかないまま。

髪の滴を拭いながら廊下に出ると、玄関の鍵がガチャガチャと音を立てた。

「え…?」

ガチャンッと音を立てて僅かな隙間でドアが止まる。

「えー?」

あいりはタオルを放り出して急いで駆けつけると、チェーンを外した。

「ごめんなさいっ、ホテルに泊まるかと…」

唇を尖らして拗ねる撥春にあいりは慌てて言い訳をする。

ふと目が合うと…撥春の双眸にあいりは反らせなくなる。

「だめ、赦さない、今直ぐ抱くから」

「え、あの、ここ、で?」

言うが速いか、撥春は玄関の壁にあいりを押し付ける。

「待っ…」

決して本気ではないが、抵抗する形になった両手もまた壁に張り付けられる。

「抱くよ?」

ライブの興奮が抜け切らない、野獣の様な双眸にあいりは射竦められていた。

近付いてくる唇はあいりの唇を避けて、首筋を這っていく。

「ふっ…んん…」

勝手に今日は帰って来ないと思っていたあいりは嬉しさと、この状況に戸惑いを感じながら、それでも撥春から伝わる熱量に溶け始めていた。

「はっ…つは…ぁあ…ん…」

鎖骨をなぞり、顎をなぞり、耳へ…全てに熱を灯していく。

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