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秘蜜に濡れて
第4章 time limit
薄暗くなり始めた駅へと小走りで向かう。

人混みの南口で辺りを見回すと、構内へと続くドアの側、待ち合わせであろう人たちと同じように立っている撥春が目に留まった。

ニット帽にマスク、ジーンズにTシャツ、薄いカーディガン姿なのになんて絵になるのだろう。

「あいり!」

その特徴のある甘い声で名前を呼ばれて胸が震えると同時に、近くに居た何人かが撥春の方を振り返る。

そんな事気にもせず、あいりの元へと歩み寄ってくる。

「会いたかった」

ストレートな物言いにあいりは赤くなる事しか出来なかった。

身を屈めた撥春はあいりの耳元に唇を寄せた。

「跡、消えてないよね?」

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