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秘蜜に濡れて
第4章 time limit
個室の襖を締めると、静かな空間に妙に手持ち無沙汰になる。

「嫌いなものとかある?」

「特には」

メニューを開いているとさっきの大将が声を掛けて襖を開けた。

「何にする?その子は飲めるの?」

「適当に見繕ってよ、酒は軽く」

あいりが断る間も無く大将は下がってしまった。

「こっちに入る前から仲良くさせてもらってるんだ、なんでも美味しいよ」

お通しは秋刀魚と里芋の炊き合わせ。

一合の日本酒が熱燗で運ばれてきた。

「先輩でここの大将の谷垣さん」

「初めまして!今日は良く来て下さいました」

深々と頭を下げられて、あいりも向き直って頭を下げた。

「とりあえずお疲れ!」

日本酒とは思えないほど飲みやすいそれと美味しい料理に舌鼓を打つ。

いい具合に酔いも回り、撥春の話しにあいりはただただ笑って過ごした。

時計を見るともう直ぐ日付が変わりそうだった。
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