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秘蜜に濡れて
第7章 夢から醒めたら
「タクシーに乗ってからさ、やっぱどっかで食べて帰った方がいいかなとか考えちゃってさ、でも美味しいって言ってくれて、作って良かった!」

「…私…岩崎さんへあんな対応で…迷惑かけたから…」

「?迷惑?体調のこと?緊張してたんだよ、きっと、俺こそ急に紹介なんてしてごめんね、あ、でも目のことは心配した!」

あいりはフォークを置いた。

「また見えなくなったらって…どうして知ってるんですか?私が…見えなかったこと」

笑顔が消えて目が泳ぐと、あいりは詰め寄った。

真剣なあいりに撥春は口を開いた。

「前に…今の俺を創ったのはあいりだからって言ったよね?」

静かに頷くあいり。

「四年前…手術の前日、病院を抜け出して公園に行かなかった?」

記憶を辿れば確かに病院を抜け出し、近くの公園に行った。

そして桜の木の下で…歌を聞かせて貰った。

透き通る力強い歌声に励まされて、手術を乗り越えた。

「それが俺」


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