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きみに鎖を
第5章 ーーーーー
なにかを選び、なにかを捨てる。
レナの両親にとってそれは、互いの存在であり、金であり、そしてレナだった。たとえ選ばれなかったとしても、生きていくしかない。彼らの人生にはなにももたらさなくても、自分の人生は続いていくのだ。
だけど、今この状況はどうだろうか?生きていると言えるだろうか。社会との関わりもなく、ただ時間が過ぎていく。高校を卒業してからというものの働き通していたレナにとって、なにもしないのは苦痛だった。
敷地からでることを許されない。屋敷の中、限られた人との少ない会話。こんな状況に追いやった男とだけなんの制限もなしに話せるという、なんともいえないジレンマ。
(こうやってストックホルム症候群になっていくわけね....)
つまり、一言でいうと、暇を持て余していた。