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きみに鎖を
第1章 ー
男は泡を洗い流し、軽く水分を拭き取るとレナをベッドへと寝かした。
「あのっ」
「ユウト」
「え ?」
「ユウトだ」
男ーーーユウト、は着ていたシャツを脱ぎ、レナにまたがる。引き締まったその身体に見惚れて現実逃避をするもすぐに戻されてしまう。
「ひゃんっ」
「まだ契約していなかったな。とりあえず今は返事だけを聞きたい」
「け、契約って...そんなの ... っん」
「うん?」
ふよふよと胸を揉まれ、淡い快感に身を捩る。距離を取ろうにも不自由な腕に、身体は男に押さえられ動けない。
( この人はさっき、もうアパートは解約したって言ってた。本当に?そんなことができるの? あとバイトも...)
「あぁ、忘れていた。大家から預かっていた解約書だ」
「...あなた、何者...?」
目の前に広げられた紙には見覚えのある字で大家さんの名前と印が押してあった。レナは非常識的な男を睨むように見つめる。
「紫堂家って知っているか?」
「はい」
「そこの次男」
紫堂家。一般人の下層に生活するレナでも知っているその名前。そこの次男ということは、家の重圧もなく自由にやっていける立場だ。本人の承諾なしのアパート解約も納得できるほどのその力。