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ある日弟が
第1章 1.
 まだ着替えてすらいなかった旦那が寝癖でボサボサの髪を振り乱しつつ、

「どうしよう、こんな姿じゃ俺、アイドルとして失格やん!」

 などとほざいているが構っている暇はない。
 とりあえずインターホンの受話器を取り、

「5分待たれよ」

 とだけ伝えて急いで寝巻きから普段着に着替えた。
 普段はユニクロしか着ないが、貧乏がバレたら恥ずかしいので今日は独身時代に買ったGAPで全身コーデ☆キメキメ☆

 小走りで玄関ドアに向かう私の後ろをストーカーの如く追ってくる娘の口元にはさっき朝食で食べた目玉焼きの黄身が付着したままだったことに気付き、未だにあたふたしている旦那に「顔洗ってやってくれ」と押し付けた上で、玄関前に到着した。

 ドアの向こうには一人の恋人がいる。
 たぶん一人が卒!童貞!させてもらった女が。
 5分、正確には5分30秒は待たせてしまっているが、ついに私は今から弟の恋人に会うのだ!
 というか悪徳商法か新興宗教だと思うけど!


 感慨深いような緊張してるような気持ちで、チェーンを外し鍵を回してドアを開けた。
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