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ある日弟が
第1章 1.
「ねぇねおはよう。突然ごめんな」

 ドアを開けた私に対し、相変わらずニヤニヤしながら一人は言った。
 だが返事すら出来ないほどに、私は一人の隣に佇む人物を見て呆気に取られていた。

 一人に連れてこられた恋人は、緊張した面持ちで黙って一人の横に立っていた。

 姉として何か言わねば・・・と思いつつ、ねぇねのファッションチェック☆を無意識に行ってしまう、このババア感。

 リネン製と思われる高そうな、かつこなれた雰囲気のブルーのシャツに、これまた高そうないい感じで色落ちしたデニム、足元は超高級っぽそうなモカシン。
 そして、なんと肩にカーディガンを引っ掛けている。

 容姿はというと、スリムで端麗な顔付き。
 簡単に言うならモデル体型だ。脚が超長い。

 春一番に吹かれて、どこのブランドのものかすら分からない超いい匂いの香水の香りが築35年のマンションの通路に漂っている。
 無論、一人が連れてきた、私の目の前にいる人物のモノだろう。

 まとめると、鍋のカサ増しでまいどまいどマロニーを大量に投入する我が家のような貧乏家族とは全く縁のなさそうな、朝食には毎朝エッグベネディクトかパンケーキをカフェで食ってそうな、明らかに一人とはお似合いでないタイプの人間である。




 しかし、最大の問題はソコではない。
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