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ある日弟が
第1章 1.
 悪徳商法等でなく、本当に恋人であるならば、一人と付き合えるくらいの女だからもしかしたらとんでもない変わり者か、世間一般でいう余り物の難アリ女か、くらいの予想はしていた。

 しかし、男かも、という予想は全くしていなかった。
 もしかして恋人でなく悪徳商法等のボスを連れてきたのだろうか?
 だとしたら今すぐ全裸になってでも追い返すべきだろうか?
 クソッ、もう少し某大型掲示板で勉強しておけばよかった・・・
 などと思っていると、

「おい、なにしてんだ」

 と、何分経っても家にあがってくる気配のない義弟たちを心配して旦那が玄関まで覗きに来たので「助かった!」と思った。
 
 旦那は一人の横に佇む男の存在に気付くと「!」と声にならない声を上げた。

 旦那の心の声が聞こえる。

 エ・・・男にしか見えないけど・・・これは女?
 それとも俺の視力落ちた?
 モンハンしすぎた?
 アレ?目をこすってもやっぱ男にしか見えねぇ・・・
 どう見たってズボンの前モッコリしてんぞ・・・
 どうすれば・・・
 
 といった心境だろう。

 うん、分かる。分かるよ。
 我々の視力が落ちたわけでなく、この人、男だよ。

 沈黙が狭い玄関と古い廊下の間を流れている。

 一体どうしたらいいの、この空気。

 とか思っていると、旦那に顔をきれいにしてもらった娘がやってきて一人と男を見るなり、突然叫んだ。

「あーっ!かじゅと!かじゅとのおよめさんだよぉ!」

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