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鍵の音
第1章 希望は鳴る
 鍵の音が止む。
 
 同情は人生に於いて必要としていない。
 むしろ、邪魔。
 考え出すと、虚しくて、悔しくて、きりがなくなるから。

「ねぇ、まだ1時間経たない?」

 懲りずに吸い続けて、気分が悪くなってきた。
 煙草のせいだけではないかも知れないけれど。

「フェラだけでもしてあげようか?私の身体に勃たなくたって、目ぇつぶっとけばイケるでしょ?それも無理?」

 その時、テンションの高い兄貴の話し声が玄関の外に消える音がした。
 
「先輩、」
「ああ、出掛けたんじゃない。それか、迎えに行ったか」
「・・・ほんとだ、いねぇや」
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