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鍵の音
第1章 希望は鳴る
「・・・し、リエちゃんにも、変わってほしいって、思った。ごめん、差し出がましくて。リエちゃんのことガキの頃から知ってるし、妹みたいなカンジだったから、例え子供生めないとしてもさ、自分のカラダを粗末に扱って欲しくないって思うんだ。ごめん。何も知らないのに勝手なこと言って。じゃあ、また」

 左手に煙草。
 右手はやはり、ポケットの中。
 鍵の音が遠ざかり、じきに背中が見えなくなる。

 手のひらのなかの鍵を見つめる。

 言い訳してたの?
 オヤジのせい
 ババアのせい
 兄貴のせい 
 兄貴の仲間のせい
 私をこんな身体にした、変質者の・・・

 私は?
 私自身から、逃げていたんだろうか?
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