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ジェミニの檻
第8章 endgate

蒸し暑い空気も図書室の中は快適だった。
むしろ雨の音がここには似合う。
六花は指先で貸出表を捲りながら、溜息をつく。
あれから3日、朝の電車でも完璧に避けられていた。
これで終わり。
六花の脳裏を過るそれを掻き消す程の何かは今の所起きなさそうだ。
ガラッとドアが開く。
「…志貴…」
「暇そうだな」
何処の棚から出してきたのかと思う程訳のわからない物理の本2冊。
「はい、オッケーです」
志貴はそのまま奥へと歩を進め、見えなくなった。
返却された本を手に棚を探す。
「志貴、あの…」
返却棚の窓際に座って本を読み耽る志貴。
「宗治さんが、7月の最終週の水曜日から二泊三日で天体観測に行かないかって」
「天体観測?」
視線は本に落とされたまま。
「うん、長野…だったかな?ロッジを借りて…宗治さんが志貴はきっと喜ぶって言ってた」
「…由岐は良いっていったのか?」
「…言ってない…けど、由岐くんはその時部活の合宿だもん」
「当て付けかよ」
「違っ…!えれなも行くもん…宗治さんはただ…志貴が星見たいだろうって…
…もういいよ、行かないって言っておくから」
むしろ雨の音がここには似合う。
六花は指先で貸出表を捲りながら、溜息をつく。
あれから3日、朝の電車でも完璧に避けられていた。
これで終わり。
六花の脳裏を過るそれを掻き消す程の何かは今の所起きなさそうだ。
ガラッとドアが開く。
「…志貴…」
「暇そうだな」
何処の棚から出してきたのかと思う程訳のわからない物理の本2冊。
「はい、オッケーです」
志貴はそのまま奥へと歩を進め、見えなくなった。
返却された本を手に棚を探す。
「志貴、あの…」
返却棚の窓際に座って本を読み耽る志貴。
「宗治さんが、7月の最終週の水曜日から二泊三日で天体観測に行かないかって」
「天体観測?」
視線は本に落とされたまま。
「うん、長野…だったかな?ロッジを借りて…宗治さんが志貴はきっと喜ぶって言ってた」
「…由岐は良いっていったのか?」
「…言ってない…けど、由岐くんはその時部活の合宿だもん」
「当て付けかよ」
「違っ…!えれなも行くもん…宗治さんはただ…志貴が星見たいだろうって…
…もういいよ、行かないって言っておくから」

