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ジェミニの檻
第8章 endgate

指を絡めると、それをさわさわと動かす。
「く、す、ぐったい…」
根元から指先に向かって往復すると擽ったさと妙な気持ちが湧き上がる。
「次は何処が良い?」
耳朶を食みながらそう尋ねる。
「何処…って…」
鼓膜を直接擽る水淫の音に、六花の芯が疼きだす。
指を一本ずつなぞり上げる。
「…んん…」
翻弄されて、蕩けていく六花を志貴は冷静に、さも可笑しそうに見つめていた。
スマホが振動している、それは志貴のではない。
二人して六花の鞄を見つめる。
「出れば?」
六花は志貴の手が離れていったことに、淋しさすら感じた。
そしてその表情を志貴は見逃さなかった。
表示されたのは由岐だった。
「もしもし…」
『俺だけど…』
「うん」
続かない会話がもどかしい。
由岐も電話の向こうで言葉を探しているようだった。
「由岐くん…?」
とうとう沈黙が訪れる。
『今、何処?』
「委員の仕事でまだ学校」
歯切れの悪い由岐。
「…っ…」
『六花?』
「ごめ…本落としちゃって…」
ケンカ中の電話は細かい事を拾えない。
六花の嘘はそのままに、また沈黙に戻った。
「く、す、ぐったい…」
根元から指先に向かって往復すると擽ったさと妙な気持ちが湧き上がる。
「次は何処が良い?」
耳朶を食みながらそう尋ねる。
「何処…って…」
鼓膜を直接擽る水淫の音に、六花の芯が疼きだす。
指を一本ずつなぞり上げる。
「…んん…」
翻弄されて、蕩けていく六花を志貴は冷静に、さも可笑しそうに見つめていた。
スマホが振動している、それは志貴のではない。
二人して六花の鞄を見つめる。
「出れば?」
六花は志貴の手が離れていったことに、淋しさすら感じた。
そしてその表情を志貴は見逃さなかった。
表示されたのは由岐だった。
「もしもし…」
『俺だけど…』
「うん」
続かない会話がもどかしい。
由岐も電話の向こうで言葉を探しているようだった。
「由岐くん…?」
とうとう沈黙が訪れる。
『今、何処?』
「委員の仕事でまだ学校」
歯切れの悪い由岐。
「…っ…」
『六花?』
「ごめ…本落としちゃって…」
ケンカ中の電話は細かい事を拾えない。
六花の嘘はそのままに、また沈黙に戻った。

