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奴隷 裕美子
第3章 躾と別れ
「裕美子」

「はぃ」

使いなれたホテルの一室。宣告は裕美子からすれば突然のことだった。

「今日からお前を奴隷として扱う。命令には絶対服従すること。拒否や反抗、不服そうな態度などは一切許さない。いいな」

「え?」

裕美子は俺が突然何を言い出したのかわからない様子だった。

「俺の性癖はもうわかっているはずだ。俺はそういう形でしかお前を愛せないし、お前も自分がマゾであることを実は自覚しているだろう。そこから目をそらさずに俺の奴隷になるか、それとも今日を限りにもう俺とは会わないか、二つに一つだ」

俺の冷たい視線に、裕美子は俺が本気で言っているのだということは理解したようだ。とは言え、二つ返事で「わかりました」などと言えるような話ではない。

「今まで教えてきたことはもちろんその通りにしなければならないし、これからはもっと恥ずかしいことも辛いこともさせる。お前にできることは、どんな命令をされても、主である俺を満足させるためにそれに従うことだけだ。俺を満足させること、悦ばせることだけを自分の悦びとしろ。それがいやなら、もうお前と会うことはない」

「・・・そんな・・」

裕美子の目から大粒の涙がこぼれる。

「あんまりです。そんな突然・・・貴方の言うことは何でも聞いてきたのに・・」

「これからも俺の言うことを聞けと言っているだけだ。ただし明確に『奴隷』としてな。これからは俺をご主人様と呼び、心と身体のすべてで俺に奉仕しろ。24時間365日、奴隷には奴隷でない日も時間もないと思え」

「お前がこれからも俺のそばにいたいなら、他に道はない。それがいやなら俺の前から去れ。去る者は追わないし、引き留めもしない」

「俺の話はそれだけだ。あとは裕美子が決めろ」
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