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おれは手芸部
第1章 おれは手芸部
 壁一面を覆うガラス窓から射す色は、いつの間にかオレンジ色に変わっていた。
 ソンギがケータイをブレザーのポケットから取り出し、何か操作したあとで耳にあてる。
 数回の呼び出し音ののち、聞き慣れたヨボセヨ?って低い声が、ソンギの耳たぶ越しに聴こえてきた。
 
「アンニョンハシムニカ。ウテソンベ練習は?あ、終わりました?あの、リョヒャンに言いました」

 ソンギはフェルトを握り締めたまま。

「全部言いましたよ」

 イェ、イェ。

「リョヒャンはもう舞踊やらないそーですよ。そんでキョンアの噂とおり、手芸部とか入ってソンベっぽいきもい人形とかつくってるみたいですね。いまさらって、そんなこと俺に言われても知りませんよ俺はただ頼まれたとおりに」

 イェ、イェ。
 イェ?

「・・・は?俺っすか?」

 ソンギがナをまっすぐに見つめる。
 オレンジ色に染まった家庭科室の中で。

「・・・まえ話したとおり、ぜんっぜんよくないっすよ。折れ方がまずかったんで。・・・コマッスンミダ。イェ、もちろんそのつもりっすよ。だから」

 ざわざわ、グラウンドから日本語が聞こえてくるここで。

「俺も脚が治ってまたラグビーやれる日まで、リョヒャンと手芸部やるつもりです」

 じっと、ナを見つめてる。

「俺やって早くラグビーやりたいけど。俺もチョーゴでウテソンベみたいにやりたかったけど。でもチョーゴには行かんかったし。脚折れたし。治っても出来るか分からんし。でもめちゃくちゃやりたいんです。めちゃめちゃラグビー好きなんです。だから、リョヒャンがまた舞踊やるって、チョーゴには行かんかったけど、日本人になったけど、ソンセンニンとこに前みたいに通って大好きな舞踊続けるって言うまで、おれは手芸部やります。俺やって脚治ったとこで前みたいにラグビー出来るんかなって、もしでけへんかった場合、大好きなラグビーをすっぱり諦められるかわからんって不安があるから。だから、リョヒャンが手芸部辞めてきもい人形作んのやめて、ソンベのことをすっぱり諦めるまでリョヒャンと手芸部やります」

 じっと見つめて、日本語で、ウテオッパに言っている。

「笑わんとってください。俺は真剣ですよ。真剣に手芸部やります。だから」


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