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おれは手芸部
第1章 おれは手芸部

「へたくそやろ」
ソンギに笑われる前に自嘲する。
でもソンギは首を左右に振った。
「そんなことないで」
はい。フェルトの塊がナの手元に戻る。
ソンギは丸顔に三日月をふたつ浮かべてナに言った。
「上手いと思うで。そうや、俺にもぬいもん教えてや。夏のコミケでな、今年こそ進撃の巨人やりたいねん」
~ねん、のあたりでふわっとにんにくの臭いがナの鼻まで届いた。
「・・・ソンギ、お弁当なに食べた?」
「は?ふつうにオンマの弁当」
「おかずは?」
「えー?チェサの残りもんブッ込まれとったけど」
「オンマに言うたほうがええで臭いからやめてくれって」
「えー?」
ソンギとは幼稚班から中級部までずっと同じクラスだった。
1クラスしかなかっただけとも言うけど。
マイノリティの中でも、弁当にキムチがぶっ込まれてるのはソンギだけだった。
「気にならんの?この学校は日本人ばっかやのに」
視線の先には名札が。
劉 聖基。
って白いプレートに黒字で刻まれてる。
ソンギは高校でも本名で通ってる。
ソンギに笑われる前に自嘲する。
でもソンギは首を左右に振った。
「そんなことないで」
はい。フェルトの塊がナの手元に戻る。
ソンギは丸顔に三日月をふたつ浮かべてナに言った。
「上手いと思うで。そうや、俺にもぬいもん教えてや。夏のコミケでな、今年こそ進撃の巨人やりたいねん」
~ねん、のあたりでふわっとにんにくの臭いがナの鼻まで届いた。
「・・・ソンギ、お弁当なに食べた?」
「は?ふつうにオンマの弁当」
「おかずは?」
「えー?チェサの残りもんブッ込まれとったけど」
「オンマに言うたほうがええで臭いからやめてくれって」
「えー?」
ソンギとは幼稚班から中級部までずっと同じクラスだった。
1クラスしかなかっただけとも言うけど。
マイノリティの中でも、弁当にキムチがぶっ込まれてるのはソンギだけだった。
「気にならんの?この学校は日本人ばっかやのに」
視線の先には名札が。
劉 聖基。
って白いプレートに黒字で刻まれてる。
ソンギは高校でも本名で通ってる。

