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おれは手芸部
第1章 おれは手芸部
「・・まぁ、そんなことはええやん」
「ほら、突っ込まれたくないこと言われたら嫌やろ?」
「・・・やなやつやなやつやなやつやなやつ!」
「あはははは!」
「ていうかリョヒャン、早くぬいもん教えてぇやー。」
「は?マジで言ってんの?じゃあソンギも手芸部入りや。ナ1人で寂しかったとこやし」

 昔からソンギといると自然と笑顔になってしまう。
 ソンギとは日本語で話しているのに、でもウリマルで話すような、あのボロい学校の中で過ごしていたような、狭いんだけど小さいんだけど、なんか安心できる自分たちが自分たちらしく過ごせる空間みたいなものが自然と出来てしまう。
 ソンギは八重歯の目立つ笑顔をナに向けて、

「考えてみるわ!」

 って言いながら、ナの裁縫箱からフェルトを勝手に取り出していた。





「リョヒャンはなんで日本の学校を受けたんやった?」



 
 ソンギは寄り目になりながら、慣れない手つきでフェルトとフェルトを糸で繋いでいる。
 他人ウケより自分ウケ、つまり、誰も作ってくれないから自分でつくるお守り、ってことらしい。

「え・・・帰化することになったから」
「あー、せやったな」
「なんかいもオンマらが話し合って、最終的にはナの意見もなく全部決まってた」
「そうか」
「ソンギは?」
「俺?チョーゴよりこっちのガッコのが近かったから」
「・・・せやったね」
「電車で片道2時間とか死ねるよな」

 なぁ?ははは。
 八重歯を見せて笑うソンギの顔を無表情のまま見つめる。

「ウテオッパは毎日そんな距離を通ってるんやね」

 ソンギの口元から八重歯が見えなくなった。

「・・・なぁソンギ。ナのことどう思う?正直なとこ」
「正直って?」
「同胞を裏切ったような感じする?」

 ソンギは顔を上げて、丸顔の三日月をめいっぱい見開いてナを見つめていた。

「ナが帰化したこと。ウテオッパに話してからな、連絡とれへんねん」
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