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Black velvet
第5章 白い喉
「シャツ とって」

ぎしぎしと動きながら
袖に腕を通し、 ベッドから降りると
下はトランクスだけはいて

カズは レースのカーテンを開けた。


砂利を敷き詰め、
レンガで ところどころ模様を描いただけの
庭を ぼんやりみている。



「今日は 休めるのか?」


「もともと 出勤日じゃないから。
明日の同伴までは、ひま」


「金が要るって言ってたのに 悠長だな。
あぁ、もちろん これは払う。
店にも言わない。 …だから
こんな事は俺だけにしとけ」


隣に立って 腰を抱くと
声も出さずに カズは笑った。


「お金は いい。 夜に出る日と交替で
ちゃんと バイトしてるし。
今日は サボったけど」


そのとき、片腕のなかにおさめた体から
ぞわりと 虫に這われたように
怖気だった気配が伝わった。


「バイトって 何だよ」


向き直らせて、わざと見下ろして
逸らさずに 問い詰める。


「…絵の モデル。
1日で 3万円くれるっていうし
脱ぐだけで いいって、、
さわらないって言ったから」


ヌードか。 「約束を破ったのか?」

この身体、肌の質感を目の前に
ずっと置いていれば
モラルに縛られない芸術家などは特に
変な気になっても おかしくないだろう。


「ううん。 さわられてないけど
このごろ、自分でやれって言う」
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