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Black velvet
第6章 革と 金具、そして足枷の先には。
車に 積んだはいいが
どちらの部屋にも 置きたくはなく
とりあえず厳重に梱包して
トランクルームに置くかと 考えながら
無言で 走らせていると
「あの絵 燃やしていい?」と
カズが呟いた。
想像するだけで 胃が焼ける図だ。
「それは駄目だ」
「どうして…」
「カズは 所有権を放棄した。
それを 俺が奪って来たんだ、
ならば あれは俺のだろう」
批難の視線が 横顔に当たっても
べつに 何ともない。
あれを焼くこいつを見るほうが
何倍も 辛いに決まっている。
「脅すためになんか 使うわけが
ないが、心配なら
誓約書でも 作るか」
「そんなんじゃ ないけど」
窓の向こうに 戻した視線が
もう泣いていないだろうか。
…肩は 揺れていないようだが。
・
厳重に包み 鎖を掛け
ダイヤル錠をふたつ 回して、
トランクルームの鍵も閉めた。
腰に そっと手を触れ
「痛くないか」
人気のない 廊下で尋ねると
「過保護すぎ」
むくれて 軽く睨み
彼はゆっくり 歩き出す。
過保護なくらいで ちょうどいい。
…俺は 惚れているんだから。
どちらの部屋にも 置きたくはなく
とりあえず厳重に梱包して
トランクルームに置くかと 考えながら
無言で 走らせていると
「あの絵 燃やしていい?」と
カズが呟いた。
想像するだけで 胃が焼ける図だ。
「それは駄目だ」
「どうして…」
「カズは 所有権を放棄した。
それを 俺が奪って来たんだ、
ならば あれは俺のだろう」
批難の視線が 横顔に当たっても
べつに 何ともない。
あれを焼くこいつを見るほうが
何倍も 辛いに決まっている。
「脅すためになんか 使うわけが
ないが、心配なら
誓約書でも 作るか」
「そんなんじゃ ないけど」
窓の向こうに 戻した視線が
もう泣いていないだろうか。
…肩は 揺れていないようだが。
・
厳重に包み 鎖を掛け
ダイヤル錠をふたつ 回して、
トランクルームの鍵も閉めた。
腰に そっと手を触れ
「痛くないか」
人気のない 廊下で尋ねると
「過保護すぎ」
むくれて 軽く睨み
彼はゆっくり 歩き出す。
過保護なくらいで ちょうどいい。
…俺は 惚れているんだから。