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Black velvet
第7章 細く光る、鎖。
「暖かいですね… 失礼します」
着たままだったコートを脱いで
刑事が 座った。
普段は使わない部屋だが
来訪があればここへ通そうと
帰宅してすぐ 床暖をいれていたし
電話を受けて、エアコンもつけていた。
今日は ちいさな身体に
もう寒い思いをさせたくない。
寒い廊下に すわりこんでいた姿が
焼きついている。
「まず…これは、あなたの物ですか」
紙袋の中の コートをちらりと見て
頷いたカズに 差し出そうとして
受け取る気のない様子に
刑事はそれを 床に置き、手帳を出した。
「では、、順に質問していきます。
今日加害者に会った理由を
教えてください」
「同伴する約束があって
待ち合わせに行ったら 店長が居ました
キャンセルになったから、って」
「同伴のキャンセルが出ると
普通は 電話連絡かメールでは」
「そうです。 でも 今日は
話したいことがあるから
早めに来いって言われて」
「付いて行った、と」
「お店で話すんだと思ってました。
なんか 雰囲気がいつもと違うなって
思ってはいたけど…
これまでは ふたりきりで話しても
手は出してこなかったんです。
掃除をするスタッフも 来るだろうし
酷いことは されないと…おもって」
付いて行ったカズが悪い訳ではないのに
俯いているのが 可哀想だが
淡々とした質問のやり方は
この場合 最も良いのだろう。
震えそうな両手を重ね、握りしめて
一生懸命答える姿に
相手も 微かに痛ましげな目をした。
「そして 部屋でいきなり
凶器を見せられ
関係を強要されそうになった、と」
「そう…です」
「浴室へ逃げ込めたのが
救いでしたね」
「…男相手は 初めてだけど
お前なら…みたいなことを言われて
痛いのは イヤだと泣いたら
ジェルを取りに 一瞬 離れたので」
節張った手が それも記入していく。
「その間、殴られては いませんか」
「はい」
「ところで」 刑事の声が変わった。
着たままだったコートを脱いで
刑事が 座った。
普段は使わない部屋だが
来訪があればここへ通そうと
帰宅してすぐ 床暖をいれていたし
電話を受けて、エアコンもつけていた。
今日は ちいさな身体に
もう寒い思いをさせたくない。
寒い廊下に すわりこんでいた姿が
焼きついている。
「まず…これは、あなたの物ですか」
紙袋の中の コートをちらりと見て
頷いたカズに 差し出そうとして
受け取る気のない様子に
刑事はそれを 床に置き、手帳を出した。
「では、、順に質問していきます。
今日加害者に会った理由を
教えてください」
「同伴する約束があって
待ち合わせに行ったら 店長が居ました
キャンセルになったから、って」
「同伴のキャンセルが出ると
普通は 電話連絡かメールでは」
「そうです。 でも 今日は
話したいことがあるから
早めに来いって言われて」
「付いて行った、と」
「お店で話すんだと思ってました。
なんか 雰囲気がいつもと違うなって
思ってはいたけど…
これまでは ふたりきりで話しても
手は出してこなかったんです。
掃除をするスタッフも 来るだろうし
酷いことは されないと…おもって」
付いて行ったカズが悪い訳ではないのに
俯いているのが 可哀想だが
淡々とした質問のやり方は
この場合 最も良いのだろう。
震えそうな両手を重ね、握りしめて
一生懸命答える姿に
相手も 微かに痛ましげな目をした。
「そして 部屋でいきなり
凶器を見せられ
関係を強要されそうになった、と」
「そう…です」
「浴室へ逃げ込めたのが
救いでしたね」
「…男相手は 初めてだけど
お前なら…みたいなことを言われて
痛いのは イヤだと泣いたら
ジェルを取りに 一瞬 離れたので」
節張った手が それも記入していく。
「その間、殴られては いませんか」
「はい」
「ところで」 刑事の声が変わった。