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Black velvet
第7章 細く光る、鎖。
「あの店には 裏帳簿がありました。
警察車両の警報音を
あの近辺では 鳴らさずに到着したので
隠す暇がなかったようですが」
「…」
「酒と接客だけを 提供していたのでは
ないようですね」
「分かりません」
「確かに あなたの名前の欄には
ときどき差し込まれる破格な指名の
料金だけが記載されていました」
「…」
「しかし、他のスタッフには
貸切日という項目があり
それはかなりの高額でした」
「おれは 知りません」
「もしかすると あなたにも
この先 【貸切】をさせるための
行為の強要ではなかったかと
「そんなことするくらいなら 辞めてます」
強気で割り込んだ声に 刑事は
すこし目を見開いた。
その真意を確かめるように
じっと カズを見据えている。
「店長は 『この頃、お前の身体は
抱かれ慣れている匂いがする。
ノンケだからこそ
この店を任された俺でさえ、
お前なら抱ける気がする
…いや やりたくて仕方ねえ』って
言いました。
たぶん ひと言も
間違ってないと思います」
美しい被害者の あけすけな言葉に
頷いただけの 刑事に、
「いまの メモしてください」
カズは 睨むような視線を送った。
警察車両の警報音を
あの近辺では 鳴らさずに到着したので
隠す暇がなかったようですが」
「…」
「酒と接客だけを 提供していたのでは
ないようですね」
「分かりません」
「確かに あなたの名前の欄には
ときどき差し込まれる破格な指名の
料金だけが記載されていました」
「…」
「しかし、他のスタッフには
貸切日という項目があり
それはかなりの高額でした」
「おれは 知りません」
「もしかすると あなたにも
この先 【貸切】をさせるための
行為の強要ではなかったかと
「そんなことするくらいなら 辞めてます」
強気で割り込んだ声に 刑事は
すこし目を見開いた。
その真意を確かめるように
じっと カズを見据えている。
「店長は 『この頃、お前の身体は
抱かれ慣れている匂いがする。
ノンケだからこそ
この店を任された俺でさえ、
お前なら抱ける気がする
…いや やりたくて仕方ねえ』って
言いました。
たぶん ひと言も
間違ってないと思います」
美しい被害者の あけすけな言葉に
頷いただけの 刑事に、
「いまの メモしてください」
カズは 睨むような視線を送った。