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Black velvet
第2章 出逢い
「半年、通えってことか」


ん?と 訝る彼は、 売上のために
俺を釣ろうとしたのでは なかった。


「あぁ …ほんとは 未成年じゃないけど。
お金が要るから 半年ここで働いてもいいけど、
ウリはできないって 言ってある」


「もとから、半年の予定なのか…。
その後は どうする?」


「どうもしないよ。
お金を返したら、大学に戻る」


そのとき、同伴者がテーブルに戻ってくるのに気がつき
俺は 目配せをして会話を中断した。





帰りがけに 名刺をくださいと言われたが

他人の目があるところで 物欲しげに
個人用のナンバーを書きたすと

カズが ここからいなくなったとき
《あいつに執心だった男》の記憶から
微かにでも疑われないか、と 躊躇い
仕事用のアドレスが載ったものを 手渡した。


不慣れな遊びだったので
実際は、個人用のものを書かないケースは
すくないのだと 後で知ったが。



カズから連絡がなければ
いや、そんなものを待たずに またすぐにでも ここへ
会いに来てしまうだろうと 思いながら

そのときにこっそりと連絡先を渡そう、と考えていたが



翌日、メールが届いた。


【昼間でも いいんだけど】…


その意味はきっと
ふたりきりで会える、ということだ。



















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