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オレは佐藤
第1章 会社で
「んぁ?誰……!!?」


目を細めて確認しようとした瞬間、柔らかいものが唇を覆う。


キスをされたとわかったのは、唇が離れてからだった。

「ま、円山…?!」


ものすごい早さの接近だった。さらに、ここまで近づけば誰だかわかる。

意外にもあの真面目な円山が、キス魔だったとは!


ーーだがそれは、オレの勘違いだった。


「主任…」


小さく呟いた円山は、オレの腕を掴んで引っ張った。


何処にって…、トイレに。



なんでーーー?!


ふらつくオレは、なすがままに引っ張られ狭い個室に入ってしまった。
焦るオレ。


目の前の円山は、俯いていて、何がしたいのかわからない。


「ま、円山…?」


表情を見ようと覗き込むと、真っ赤になって涙目になっていた。


「…しゅ…佐藤さん…。」


佐藤とは、オレのこと。
?が脳ミソを支配するオレは、円山の言葉を待った。

いや、トイレから出てもいいのだが、円山の暴挙が気になって…。





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