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負い目
第1章  
 アイスピックを握り締めたまま、テッちゃんが振り返る。


「ほら」


 テッちゃんが身に付けているハーパンの中心は、さっきのリョンちゃんと同じような状況だった。


「あんときとおんなじや。おかしくなって、わたしんとこ来てくれって呼ばれるんやから。俺にはどうしようもないわ」


 テッちゃんの瞳が、わたしを捉える。


「いまも聞こえたで。おまえ、俺を呼んだやろ。振り向いてわたしを見てって」


 がらん、氷が溶けて音を立てて小さく崩れる。
 開いたままの花模様の擦りガラスから吹き込む冷たい風が、汗の吹き出すわたしのからだを冷やす。
 知らないあいだに空は灰色に澱んで、熱されたアスファルトが雨粒に黒く滲んでいた。


「あー、思い出すな。あの子もあの子も、誰も知らんあの子もあの子もあの子もあの子もあの子もあの子も、みんな、おまえとおんなじ目をしてたな」


 夕立の音が、耳の中に響いている。


「ゾクゾクする。その目、思い出すわ。あれ?俺もおまえのせいで、そろそろおかしくなってきたんかな」


 巨大な雨雲の色みたいに澱んだ音が。


「いややって?嘘言うなよ。わかるよ。俺のんが欲しいって目してる。みんなそーゆう目をしてた。俺はあの子らに呼ばれたんやで。俺には聞こえるねん。俺に犯して欲しいって叫んでる声が聞こえるねん。俺は呼ばれたから行っただけで、べつに俺はあの子らをどうこうしたいなんて、処女の子らをぶん殴って服剥いで俺のんをぶち込んで、裂けたトコから真っ赤な血流れてるソコをむっちゃくちゃにして、そんで」


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